先日、神戸・三宮駅周辺を歩いていると、CoCo壱番屋のチラシをもらいました。配っているのが制服を来た店員だったので、近くの店舗の集客がその目的だと思われますが、チラシの内容はメニューブック。このチラシで集客できるのか、かなり疑問ですが、チラシからココイチの強みが、分かりました。
その強みとは、
単価の高さ
ではないでしょうか。ココイチと言えば、カレーのファストフード店ですが、一番安いポークカレーでも430円します。恐らく、ココイチの特徴であるトッピングやごはん増量を選択する来店客が多いと思うので、客単価は700円近くするのではないでしょうか。ちなみに、近くにある定食屋のやよい軒も、600~700円台の定食がメインなので、客単価は同じだと思います。定食とカレーでは、定食の方がボリューム感・ヘルシーさは上。商品として負けるにもかかわらず、同じ客単価で売れるということは、それだけココイチの商品に商品力があるということになります。よって、
高単価でも売れる高い商品力
というのが、その強みと言えるかと思います。
CoCo壱番屋の運営会社である株式会社壱番屋の月次実績を見ると、ココイチの強さがさらに実感できます。ちなみに、この月次実績には、カレー専門店のココイチだけでなく、パスタ店・ラーメン店など他の業態も含まれています。
【株式会社壱番屋の既存店実績まとめ】
[既存店売上高]8・9・11・12・3・5月が前年同月比プラス
[客数]8・9・12・3・5月がプラス
[客単価]全12ヶ月プラス
※ 2012年6月~2013年5月まで
既存店売上高の低迷するチェーンの多いファストフード業界ですが、壱番屋には当てはまらないようです。12ヶ月のうち半分は、既存店売上高がプラスで推移しているからです。上記のデータから、その牽引役が客数増であることがわかるかと思います。客数が増えた要因は、四半期決算説明要旨などから今ひとつわかりませんが、「メニュー強化」が影響していることが大きな要因のようです。具体的には、
期間限定メニュー(月刊ココイチ)の導入
です。今回のメニューブックでも、6月~8月までの限定メニューとして「チキンと夏野菜カレー」が全面に出されています。一定期間しか食べられないので、もう一度食べたい人は、その期間にもう一度利用しなければなりません。この結果、人気メニューが導入された月に客数が増えたのかもしれません。
客単価が常に前年同月比プラスで推移しているところを見ると、
値下げを行なっていない
ことがわかります。商品単価を下げることなく、期間限定メニューなどを導入することで、メニューに新鮮味を加え、来店動機を高めているのです。
上記月次データは、ココイチだけの数字ではないですが、その大部分がココイチによるものと考えると、ココイチ単体にそのまま当てはまるかと思います。つまり、ココイチ自体も、値引きをせずにメニューを強化することで、客単価プラス・客数プラス・既存店売上プラスを目指しているのです。
もしかしたら、客単価の上昇を目指すマクドナルドは、ココイチの成功事例を参考にしているのかもしれません。いずれにせよ、ココイチのメニューブックと壱番屋の月次データからわかることは、値下げによって売上高を増加させるというやり方は、かなり難しいということです。既存店売上高の拡大を目指すなら、客単価を上昇させることは避けられないのかもしれません。値下げによる客数増で既存店売上高をプラスに持っていった吉野家は、例外のように感じます。
☆今日のまとめ☆
CoCo壱番屋のメニューブックから感じることは、単価の高さ。
そして、運営会社の壱番屋の月次実績を見ると、客単価が常にプラスに推移している。
客単価の上昇は、既存店売上をプラスにさせる条件なのかもしれない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
ココイチのメニューを見て、食べたくなったのはハッシュドビーフです。
ちなみに、ハッシュドビーフとハヤシライスの明確な違いは、ないようです。